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新型コロナウイルス感染拡大による転職活動の影響について(2020年7月現在)

更新

新型コロナウイルスの感染拡大防止に日々ご尽力されている医療関係の皆様には深く感謝申し上げます。

前回(4月21日)の記事から約3ヶ月経過し、「新型コロナウイルスの影響」により、臨床工学技士の転職市場にも様々な動きがございました。特に緊急事態宣言による転職市場の影響が大きかったことは言うまでもありません。

そのような中で、転職市場がどのように変化したのかについてまとめました。転職を検討している臨床工学技士皆様の状況理解の一助になれば幸いです。

もくじ

時系列を整理して流れを理解する

まずは、緊急事態宣言以降の時系列で整理してみました。

  • 4月7日:東京都や大阪府、福岡県など7都府県を対象に5月6日までの期間で「緊急事態宣言」を発令。
  • 4月17日:エリアを全国に拡大
  • 5月4日:5月31日まで延長
  • 5月14日:39県で解除。首都圏を中心に8都道府県は継続
  • 5月21日:関西で解除。首都圏と北海道は継続
  • 5月25日:全国で解除

転職市場も緊急事態宣言の動きに合わせて変化してきました。

  • 4月上旬
     緊急事態宣言の発令と共に、全国的に採用の動きが鈍化
  • 4月下旬
     GW明けの5月7日から緊急事態宣言解除を見越し、少しずつ求人数が増加
  • 5月4日~中旬
     緊急事態宣言の延長を受け、再度、採用を見合わせるところが増加
  • 5月中旬以降~現在
     地方から徐々に求人再開の傾向が強くなり、次いで関西、首都圏の求人も増加傾向

6月以降の求人状況の変化を知る

6月に入り、緊急事態宣言の全面解除により少しずつ求人も増加傾向です。また、選考がストップしていた求人も動き出してきましたが、まだまだ様子見の状況が続いております。

病院においては入院・外来患者の減少における経営悪化は深刻な状況から、人件費を抑制する動きが強くなっております。

病院での採用状況の変化

感染患者を受け入れている病院

新型コロナウイルス感染症感が再び大きく拡大している局面を迎え、図らずも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療において、ECMOがクローズアップされ臨床工学技士の認知度や必要性が高まっています。その為、臨床工学技士の採用ニーズは高まっていると言えるでしょう。

しかし、急速な感染拡大に伴い、ICU病床の不足や深刻な人員不足が報告されているとはいえ、すぐに人員不足の解消に動き出すかというとそうもいかないのが現状です。臨床工学技士の中でも人工呼吸器や人工心肺などの生命維持装置に携わっている方、とりわけECMOの操作に習熟している方はごく僅かであり、この緊急時の最中に臨床工学技士の教育・研修にあてる時間の確保が難しいというのが現状です。

併せて、病院の経営難も重なり、今すぐの採用には慎重を来している状況を考えると、転職市場においては、もう少し求人が増えるまでは時間がかかるというのが現状です。

感染患者を受け入れていない病院

前回(4月21日時点)では、採用活動は継続中のところが多かったのですが、入院患者・外来患者の減少は中小の民間病院の経営にはかなり深刻です。前回と比べると、求人状況は厳しくなっている印象です。

特に臨床工学技士の仕事は、ICUやオペ室などの緊急性の高い仕事が多く、救急患者の受け入れが減少している状況の中、新たな臨床工学技士の採用にも慎重にならざるを得ません。

ただ、決して人員不足が解消されている訳ではなく、又、透析患者を受け入れている病院においては、透析管理を行う臨床工学技士も必要です。即戦力として生命維持装置から透析管理まで経験豊富な即戦力の臨床工学技士のニーズは引き続き高いと言えるでしょう。

人工透析を行っている病院やクリニックでの採用状況の変化

透析患者は糖尿病や高血圧症など合併症を有する高齢患者が多く、新型コロナウイルスで重症化するリスクが高く、更には定期的な通院が求められる為、院内感染のリスクもあり、感染症対策の徹底の重要度が高いといえるでしょう。

引き続き、日本透析医学会からも「透析施設での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する感染対策徹底のお願い」が何度も通達されております。

特に昨今の急激な感染者増加に伴い、第2波への備えが必要との通達がでております。

COVID-19 の第2波に備えた透析施設での感染対策の徹底について(お願い)

7月17日現在、透析患者における累積の新型コロナウイルス感染者数が全国で125人、死亡者数が22人となっており、この数字からも透析患者の重症化率が高い事がわかります。

透析患者における累積の新型コロナウイルス感染者数(2020年7月17日)

また、新型コロナウイルス感染対策合同委員会と日本臨床工学技士会、日本災害時透析医療協働支援チームとの合同調査により「透析医療機器および個人防護具に関する現況調査」が報告されております。

透析医療機器および個人防護具に関する現況調査

この調査から、看護師に次いで臨床工学技士の人員不足が報告されております。

人工透析を行っている病院やクリニックにおいては、他の医療機関以上に徹底した感染症対策が必要となり、臨床工学技士の必要性、人員不足は今まで以上となっております。

感染症対策に十分にケアしながらも、臨床工学技士の採用活動は活発になっていると言えるでしょう。

医療機器メーカーでの採用状況の変化

臨床工学技士の転職先として医療機器メーカーでのアプリケーションスペシャリスト(販売支援)というお仕事がございます。

医療機器メーカーで働く臨床工学技師
(アプリケーションスペシャリスト)

こちらは前回と同様になりますが、医療機器メーカーの募集は、企業の採用方針によるところが大きく、積極的に採用している企業もあれば、一旦採用を取りやめる企業もあります。

ただ、積極的に採用する企業においても、採用には即戦力を求める傾向が強くなっております。特にコロナ禍においては、人工呼吸器、人工心肺などの生命維持装置の経験者を求める傾向が高くなっております。透析のみ経験者には少し狭き門となっており、少なからずコロナの影響を受けていると言えるでしょう。

また、採用時期も今すぐというよりも、このコロナの終息具合を見定めている企業も多く、下半期(10月以降)以降での採用が多くなっております。医療機器メーカーへの転職を希望される方には、焦らずにじっくりと転職活動を進めると良いでしょう。

最後に

新型コロナウイルスの影響により、臨床工学技士の認知度や重要性が高まっています。臨床工学技士の転職市場には追い風と言えるでしょう。

ただ、現状では即戦力を求める傾向が強い為、透析管理の経験者には透析のお仕事。生命維持装置の経験者には急性期病院でのお仕事。ご自身の経験を活かせる求人を探されるといいでしょう。新たな仕事内容を求める方には、少し転職時期を待った方がいいかもしれません。

このコロナ禍において転職をお考えの方には、現在の転職市場をよく見極める必要があります。今、積極的に動いてよい求人なのか、少し時期を待った方が良いのか、弊社の転職アドバイザーとの打ち合わせを入念に行っていただければと思います。

また、今後は対面での面接からWeb面接のニーズが高まってくるものと思います。現に、4月以降、Web面接を行った病院や企業が増えております。

実際の対面の面接とは違ったWeb面接の特徴がありますので、Web面接の対応にも慣れておく必要があります。Web面接の途中で画像が乱れてしまったり、音声が途切れてしまったり、本来の実力を発揮できない恐れもあります。

弊社では、Webを使った転職相談、面接対策を行っております。Withコロナの中の転職は一人ではなかなか難しいものがあります。ピンチをチャンスに変える為に、是非、弊社の転職支援をご活用ください。