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臨床工学技士の2020年転職市場を振り返って

はじめに

コロナ渦に翻弄された2020年

2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大に翻弄される一年となりました。

そして、この年末になっても未だ終息の目途が立っておりません。イギリスやロシアではワクチン接種が始まっておりますが、まだ安全性、有効性が不透明な中、日本国内のワクチン接種が始まるのは、早くても来年春頃になるのではないかと思います。

2021年も新型コロナウイルスの感染拡大局面にある事を想定すると、転職市場が以前の状況に戻るにはもう少し時間がかかりそうです。

ECMOをきっかけに、臨床工学技士の認知度は向上

図らずも、新型コロナウイルス感染症重症患者の救命の切り札とされたECMOがクローズアップされた事もあり、当機器を扱う臨床工学技士の認知度や必要性が高まっています。

その為、臨床工学技士の採用ニーズは高まっていると言えるでしょう。

ただ、実際のところ、2020年度の臨床工学技士の転職市場はどうだったのでしょうか。

今回は2020年の振り返りとして、コロナ禍が本格化した2020年1~3月期、緊急事態宣言下の4~6月期、感染拡大防止と経済活動の両立を模索し始めた7~10月期、そして現在の第三波が到来している11~12月の4期の求人動向の変動を見ていきます。

※参考資料:厚生労働省 職業別一般職業紹介状況[実数](常用(パート除く))医療技術者

第一期(2020年1~3月期)

~新型コロナウイルスの感染局面を迎える3月から転職市場が悪化~

有効求人倍率(医療技術者) 
1月 2月 3月
3.20倍
(-0.06倍)
3.10倍
(-0.19倍)
2.91倍
(-0.24倍)

※カッコ内は昨年同月比

3月から徐々に求人数が下落、コロナ渦の影響が出始めた時期

まだ1月~2月は、新型コロナウイルスの感染者が少なく、医療技術者の有効求人倍率も3倍をキープしておりました。ただ、3月下旬ごろになると、クラスターが徐々に発生し、第一波の感染拡大局面となると、徐々に有効求人倍率も下落してきました。

全体的な求人数にはそれほど大きな影響は無かったのですが、病院、クリニックなどの医療機関では、感染症対策に慌ただしくなり、採用活動が停滞するところが増えてきました。

選考結果に数週間を要する、或いは一旦、採用活動自体をストップするところが徐々に見受けられるようになってきたのがこの頃です。

第二期(2020年4~6月期)

~全国的な緊急事態宣言の発令により転職市場が停滞~

有効求人倍率(医療技術者) 
4月 5月 6月
2.53倍
(-0.29倍)
2.32倍
(-0.41倍)
2.29倍
(-0.65倍)

※カッコ内は昨年同月比

緊急事態宣言により、臨床工学技士の転職市場は停滞期に

特に緊急事態宣言による転職市場の影響が大きかったことは言うまでもありません。


4月上旬

緊急事態宣言の発令と共に、全国的に採用の動きが鈍化
※4月7日:東京都を中心とした首都圏、大阪、兵庫、福岡の7都道府県に緊急事態宣言
※4月16日:全国に緊急事態宣言

4月下旬

GW明けの5月7日からの緊急事態宣言解除を見越し、少しずつ求人数が増加

5月初旬~中旬

緊急事態宣言の延長を受け、再度、採用を見合わせるところが増加

5月中旬以降

地方から徐々に求人再開の傾向が強くなり、次いで関西、首都圏の求人も増加傾向

緊急事態宣言中は、転職市場は大きな停滞期となりました。

その後、5月25日に緊急事態宣言の全面解除により少しずつ求人も増加してきました。また、選考がストップしていた求人も動き出してきましたが、まだまだ様子見の状況が続き、6月は有効求人倍率が2.29倍まで落ち込みました。

病院・クリニックの状況

病院・クリニックなどの医療機関においては入院・外来患者の減少における経営悪化は深刻な状況のため、採用には慎重を期している状況でした。

特に感染症患者を受け入れている病院においては、感染症対策に多くの時間と人員を割く事となりました。ただ、すぐに人員不足の解消に動き出すかというとそうもいかないのが現状だったかと思います。

臨床工学技士の中でも人工呼吸器や人工心肺などの生命維持装置に携わっている方、とりわけECMOの操作に習熟している方はごく僅かであり、この緊急時の最中に臨床工学技士の教育・研修にあてる時間の確保が難しいというのが、すぐに採用に踏み切れなかった理由かと思います。

透析クリニックの状況

臨床工学技士の多くが働いている透析のお仕事に関しても、選考が進みにくい状況でした。

透析患者は新型コロナウイルスで重症化するリスクが高く、更には定期的な通院が求められる為、院内感染のリスクもあり、感染症対策の徹底の重要度が高い環境です。そのような状況の中、外部の人間を院内に入れる事が出来ず、面接・見学などの選考がストップしてしまったのがこの頃です。

医療機器メーカーの状況

医療機器メーカーにおいては、企業の採用方針によるところが大きく、積極的に採用している企業もあれば、一旦採用を取りやめる企業もでてきました。

ただ、積極的に採用する企業においても、人材を育成していく方針から、即戦力採用に切り替える傾向が強くなり、選考難易度はかなり高くなりました。


緊急事態宣言により、転職市場が大きな停滞となった時期でした。緊急事態宣言の解除により、転職市場が徐々に戻りつつありますが、どこもかなり採用には慎重かつ厳選しているこの時期でした。

第三期(2020年7~10月期)

~Withコロナの中で採用活動を模索~

有効求人倍率(医療技術者) 
7月 8月 9月 10月
2.34倍
(-0.71倍)
2.35倍
(-0.83倍)
2.43倍
(-0.69倍)
2.52倍
(-0.65倍)

※カッコ内は昨年同月比

少しずつ、有効求人倍率が上昇傾向に

この頃になると、Withコロナの中で採用活動を再開する医療機関が増えてきました。

停滞していた転職市場も、徐々に戻りつつあるのを感じたのがこの頃です。

7月下旬から8月のお盆の時期になると新型コロナウイルスの第二波の拡大局面となりますが、第一波の時のような転職市場の停滞感はなく、少しずつ有効求人倍率も上昇してきました。

課題は、感染症対策+臨床工学技士の採用~育成

ただ、臨床工学技士の働く手術室やICUなどの生命維持装置や透析管理の現場においては、まだまだ感染症対策に力を入れる必要があり、人員不足とはいえ、採用活動には慎重にならざるを得ない状況が続いておりました。

Withコロナの中で少しずつ採用に向けて動きだした医療機関も増えてきたところですが、感染症対策と臨床工学技士の採用~育成をどうするか、模索していた医療機関が多かったのがこの頃です。

第四期(2020年11月~12月期)

~新型コロナウイルス感染拡大の第三波により、やや停滞気味~

やや転職市場が停滞気味です。

徐々に転職市場が戻りつつありましたが、第三波の到来により11月中旬頃から、求人数が減少傾向です。また、選考も進みにくい状況となっております。

状況としては、第一期の停滞時期に似ている感じがします。

病院をはじめ、臨床工学技士の転職市場は厳しい状況

その時よりも、新型コロナウイルスの感染症患者を受け入れる病院が増えた事と病院の医療体制のひっ迫感は更に深刻である状況を考えると、病院の選考は厳しい状況です。

特にコロナの感染患者を受け入れる事により、それ以外の患者のオペや救急受け入れを制限する必要があり、手術室やICUで活躍する臨床工学技士の現場が減少している事を考えると、転職市場は今まで以上に厳しい状況です。

一方、透析クリニックの需要は高い傾向

ただ、人工透析の現場においては、今までの通常業務に加え、徹底した感染症対策が必要となり、臨床工学技士の必要性、人員不足は今まで以上となっております。

感染症対策に十分にケアしながらも、臨床工学技士の採用活動は活発になっていると言えるでしょう。

まとめ

臨床工学技士の知名度は上がったものの、転職市場は…

以上、2020年の臨床工学技士の転職市場を振り返ってみましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により、臨床工学技士の認知度や必要性がより高まった年となりました。

ただ、その高まりと実際の採用活動がアンバランスな一年だった気がします。

転職市場に活気が戻るタイミングはワクチン次第

2021年は、透析管理の転職市場は活発になる事が想定されますが、生命維持装置に関わる臨床工学技士の採用が活発になるには、新型コロナウイルスのワクチン次第かと思います。

ワクチン効果により、手術や救急患者の受け入れなど、コロナ感染患者以外の患者の診療体制が少しずつ戻ることにより、病院の採用活動も活発に戻ってくるでしょう。

採用ニーズが高まっている職種である事は間違いないので、新型コロナウイルスの感染が落ち着く事により、転職市場は大きく好転するのではないかと考えられます。

転職準備は活気が戻る前に

その頃には、求人の増加だけでなく、今まで転職活動を見合わせていた臨床工学技士の方々も一斉に動き出すことが想定されます。
一つの求人に数多くの方からの応募となり競争率が激しくなるかもしれません。

少しでも有利に転職活動を進める為にも、早めに転職活動を進めておくといいでしょう。
一 まずは、情報収集や履歴書・職務経歴書の作成だけでも良いかと思います。一早く良い求人に巡り合い、即座に選考を進められるようにご準備だけでも進めてみてはいかがでしょうか。

まずは、お気軽に弊社の転職アドバイザーにご相談ください。

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国家認定キャリアコンサルタント T.I.

国家認定キャリアコンサルタント
T.I.がこの記事を監修しています

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