医療機器メーカーでの仕事は臨床工学技士の臨床経験を存分に活かせる!

医療機器のスペシャリストとも呼ばれる臨床工学技士。病院内での機器管理や保守点検だけではなく機器の操作も行う、責任が伴うとてもやりがいのある職業です。
しかし病院勤務であればオンコールや夜勤があり、家庭と仕事の両立が難しく、また業務自体もローテーターと言う形で、希望する業務に就くまでに時間がかかってしまう場合もあります。
臨床工学技士として、治療や手術を補助する機器への知見を深めたいけれどプライベートの時間も確保してライフワークバランスを保ちたいと一度は考えたことがあるのではないでしょうか?
そのような方に知ってほしいのが臨床工学技士の働き方の選択肢の一つとして、医療機器メーカーで働く道もあるということ。
それでは一体、医療機器メーカーで臨床工学技士はどのように働いているのでしょうか?
もくじ
臨床工学技士出身者は「アプリケーションスペシャリスト職」として働く
医療機器メーカーに就職した臨床工学技士が担う役割(アプリケーションスペシャリスト職)は、営業マンと一緒に病院やクリニックに訪問して、医師や医療従事者に、自社製医療機器の説明やデモンストレーションを行い、導入を検討して頂いている医療機器についての理解を深めてもらう仕事です。
営業職とは異なり直接販売をするわけではありませんが、これまで医療機関で培ってきた医療知識や医療機器を扱ってきた経験を発揮することが出来る職業です。
アプリケーションスペシャリスト職の具体的な仕事内容
アプリケーションスペシャリストは医療機器のデモンストレーションを行うため、医療機器に関する知識を持った臨床工学技士はまさに打ってつけ。では、実際にはどのような業務があるのでしょうか?実例を交えて業務内容を深堀してみます。
営業マンに同行し医療機器のプレゼンを行う
前述したようにアプリケーションスペシャリストは医療機器の営業ではなく、医療機器の操作方法や特徴・どういったことができる機器なのかを説明する役割です。
臨床工学技士の場合、馴染のある人工呼吸器、人工心肺装置、ペースメーカーや人工透析装置など生命維持装置を扱う場合が多く、通常操作から応用、トラブル時の対応方法、類似する医療機器との違いなどを医師などの医療従事者に分かりやすく説明することになります。
医療機器に詳しい臨床工学技士が説明することで、医療従事者の理解を深めることが出来るため、医療機器メーカーでの臨床工学技士の需要は大きいと言えます。
導入後のフォローや慣れるまでの補助
病院やクリニックでデモンストレーションを行い、結果的に自社の医療機器を導入頂くと、機器の使用に慣れるまでの間は手術や治療に立ち会うなど、医師や医療従事者が正しく扱えるようにフォローをするのもアプリケーションスペシャリストの業務のひとつです。
医療機関で日ごろから医療機器の保守点検を行ってきた臨床工学技士にとっては、そう難しくはありません。
フォローを行う病院やクリニックは1つだけではないため、一日に複数の医療機関を訪問します。出社して、ミーティングなどで一日の流れを確認すると、退社時間まで外で過ごすことが多くなります。
学会や研修会・勉強会などでの操作説明
医療機器メーカーで扱っている医療機器に関連する診療科や疾患の学会が行われる場合は、学会に参加して企業ブースで学会参加者に向けて操作説明やデモンストレーションを行い、参加者に機器メーカーが販売する医療機器についての理解を深めてもらいます。
また病院内や地域での研修会や勉強会でも同様に、医療機器についての説明やデモンストレーションを行います。医療従事者や医師などから説明を求められたり質問をされたりすることも多いため正しい知識だけでなく類似機器との違いを知っておく必要があります。
これまで一つの医療機器をとっても、さまざまなメーカーを扱っていた臨床工学技士にとっては一から学ぶ必要が少なく、機器そのものの構造や役割についてある程度の理解が出来ているので、このような場面でも経験が活きてきますね。
販売促進のためのメールや電話対応・情報収集
通常、販売促進を行うのは営業部の役割ですが、医師や医療従事者への説明や操作を行う上で生じた反省点や改善点、医療施設からの電話やメールなどを臨床工学技士の視点から営業部にフィードバックし、企業やエリアの業績が伸びるようにサポートするのもアプリケーションスペシャリストの役割です。
また類似する他社の医療機器について勉強することや、最新の医療機器や医療技術を収集し勉強することも大切になります。論文や資料を集めて勉強し、時には会議で自分の意見を述べることもあります。
アプリケーションスペシャリスト職に向いている人・必要な能力
では、どのような人がアプリケーションスペシャリストに向いているのでしょうか?
臨床工学技士としての臨床現場経験や医療機器の知識があることはもちろんですが、コミュニケーション能力に優れている人や探求心のある人、英文を読むことができる人(またはこれから学ぶ意欲がある人など)は向いていると言えます。
コミュニケーション能力に優れている人
アプリケーションスペシャリストは医療従事者に向けて分かりやすく医療機器の説明をする必要があるため、コミュニケーションを取るのが上手い人に向いている仕事です。
これまでの臨床現場とは違い医療機器を購入してもらうため、顧客との会話を合わせるスキルや、相手の意見を汲まなければならない状況もあります。臨床現場のように自分の意見を出すことも大事ですが、相手の意見は機器改善のための貴重な情報と捉えて尊重すことがとても重要です。
探求心があり新しい情報に敏感な人
デモンストレーションを行う医療機器は最新のモデルや新しく開発された医療機器であるため常に新しい情報を収集し正しい知識を持っておく必要があります。また、類似する医療機器との違いを知っておく必要がありますので探求心があり意欲的であることは大事な要素です。
英文が読める人または学ぶ意欲がある人
必須スキルではありませんが、海外のメーカーの医療機器であれば英語の取扱説明書やパンフレットの場合もあり、英文を理解出来ると業務をスムーズにこなせるケースがあります。今は英文を読むことが難しくても、eラーニングなどで英語を改めて学ぼう、という意欲がある人にも向いていると言えます。
医療機器メーカーと医療機関の比較
医療機器メーカーで働くとして気になるのは、医療機関の時と比べてどのような点がメリットになるのか、逆にどの点がデメリットになるのかではないでしょうか?ここで比較してみましょう。
医療機器メーカーの良い点(メリット)
オンコールや夜勤がない
医療機器メーカーは企業であり医療機関ではないため、これまでの臨床現場のように夜勤やオンコールはありません。
そのため仕事が終わった後や休日は、プライベートな時間になるため予定を立てやすいと言えます。休日も対応しなければならないケースがまったくないわけではありませんが、あったとしても電話やメールで済むことがほとんどで、緊急で現場に行くケースは稀です。
年間休日数が医療機関に比べて多くなる傾向にある
医療機器メーカーの平均年間休日は120日程で、暦通りの休みである場合がほとんどです。学会や研修会などで土日が出勤になった場合でも振替休日を取ることができますので、臨床現場より休みは多いと言えます。
年収が医療機関より高くなりやすい
医療機器メーカーで働くメリットの一つとして年収が医療機関より高くなる傾向になります。
医療機関メーカーでの働き方は病院やクリニックなどを訪問する形になりますが、患者さんの治療や手術を行うわけではありません。医療機関や患者さんと程よい距離感を保ちながら、引き続き医療業界で働きたいと考えている方には給与面での待遇は魅力的ですね。
医療機器メーカーが劣る点(デメリット)
医療機関よりも残業が多い傾向あり
アプリケーションスペシャリストの仕事は、医療機関の予定に左右されるため定時時刻を過ぎても予定がある場合には必然的に残業になってしまいます。
医療機器メーカーによっては医療機関への直行直帰が認められている場合もありますが、決められたエリアごとに業務を担うため、交通事情により移動時間がかかると帰社が遅れ、残業となる場合もあります。
学会などで出張が多くなる
学会は医療従事者にとって新しい医療機器に触れることができ話を聞けるチャンスであるため、医療機器メーカーは関連する学会に参加します。学会は全国各地、平日や土日などさまざまですので時期が重なれば、プライベートの時間が削られてしまうこともあります。
ただし、人によっては各地に出向けることが好きな方もいたり、出張手当が出る企業もあったりと、一概にデメリットであるとは言えないかもしれません。
コミュニケーションが苦手な人は苦痛を感じやすい
アプリケーションスペシャリストの仕事は医療機器のデモンストレーションだけではなく医療機器導入後のフォローも行います。
研修会や勉強会などで医療従事者からの質疑応答や同僚との打ち合わせなど臨床現場以上に人と接する機会は多くなりますので、人付き合いが苦手と言う人にとっては苦痛を感じやすい仕事です。
まとめ
- 臨床工学技士だからこそ医療従事者からの信頼度も上がり理解を深めやすい
- 残業や学会での出張は多いが年間休日数が医療機関に比べて多い
- コミュニケーション能力が必要とされるが常に最新の情報を得ることが出来る
臨床現場でのオンコールや夜勤でプライベートな時間を確保できない場合や、もっと医療機器に精通したい、給与面での待遇がいいところに転職したいと考えている方へは、医療機器メーカーでのアプリケーションスペシャリスト職をオススメしています。臨床現場経験を活かしながら企業で働ける魅力的な職業ですので、是非検討してみてください。
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